子供に対しては
「大人になったら、何になりたい?」
大人に対しては
「あなたのお仕事は?」
この問いに対して、
笑顔で何のためらいもなく答えられる人は
幸せです。
この問いに答えられるだけで、
社会に受け入れられるから。
ですが、
この問いに笑顔で即答できる人が
どれだけいるのかというと、
実はそれほど
多くないのではないかと思います。
私も、
「ピアニストになりたい」
と6〜7歳の2年間だけ言ってみたものの、
それ以後、
特に何も言えなくなってしまった1人です。
なりたいものは、
1つに決めなければならないのか?
それもできるだけ早く
決めてしまわなければいけないのか?
「器用貧乏」
「多芸は無芸」
このような言葉が示すとおり、
私たちのこれまでの社会では
1つのことに習熟することが良しとされてきました。
次々と仕事を変えたり、
興味が次々移っていくのは
よくないことだと。
今は昭和の時代にくらべたら
そういう考えは薄れてはいますけど、
まだまだ根強いですよね。
自分の仕事や目標を
本心から1つに絞ることができず、
モヤモヤしている人々の心に
ひとすじの明かりを灯す本を、
知人から紹介してもらいました!
「マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法」(link)
image(link)
たとえばこの本の第3章にある、
「あなたの完ぺきな1日はどんなもの?」
という問い。
理想の完ぺきな1日を思い描いてみましょう、
というエクササイズは
これまでにも目にしたことがありませんか?
この問いに対して、作者は、
「私は以前、このエクササイズがうまくできなかった。いくつもの完ぺきな1日、試してみたいいくつもの人生がどんどん頭に浮かんでしまうからだ」
と書いています。
これは私もそうで、
むしろ、
完ぺきな1日をずっと繰り返すなんてつまらない!
と思ってしまい、
この類のエクササイズはスルーしてました。
また、
私のような個人事業者はよく
「サービスを1つに絞るべき」
ということも言われます。
整体なら整体、
気功なら気功、
ブロック解除ならブロック解除、
門学なら門学・・・
どれか1つだけ。
というように。
ですが、
絞れないんです。
どれもあっての私。
どれも使いこなしての私。
そしてどれにもお客様がいらっしゃるので
そう簡単にはどれかを捨てられない、ということもあります。
1つだけに絞ることは、
私にとってはカラーテレビをモノクロに戻すようなものだし、
仮に、1つだけに絞ったほうが売上が上がるよ!
ということだったとしても
売上のためだけに、しっかり生きているサービスを殺す??
と思ってしまいます。
(1つに絞らない代わりに、と意識したわけではないですが
「セルフイメージを上げる」
というテーマは一貫して持っています)
門学の視点から見ても、
1つのことにずっと集中できるのは修門くらい、とも言えます。
立門と創門の人は
次々に興味が移ってもぜんぜん不思議はなく
むしろそういうものだし、
財門や官門だって
財門なら「目標」
官門なら「理念」
は一貫していても、
実際にやることは
たびたび移り変わっていったりします。
などと書きつつ、
修門のみなさんに聞いてみても、
「いや修門だって興味は移り変わることはあるよ」
という声が返ってきそうです^^
特に今は、
昔にくらべてやれることがいっぱいあるし、
時代の移り変わりも激しいし、
いろいろな可能性が開かれていますから。
では
昔からなぜ、
1つのことをずっとやるのがいいとされてきたのだ?
と考えてみると、
それは
支配する側の都合だったり、
雇う側の都合が大きいのかも?
国民には、
1つの仕事にいそしんでもらい、
安定した収益(=税)が入るほうがいいだろうし、
暴動なんかもそうそう起こされても困るから
1つのことにとどまって余計なことを考えないでもらうほうがいいし。
雇用主も、
同じ人にずっと働いてもらうほうが、
引き継ぎだのまた1から教育だのしなくていいし、
いったん確保した労働力には逃げて欲しくないだろうし。
また、
集団やグループで働くとしたら、
仲間の誰かに勝手なことをされたら
迷惑に思いますよね。
だから
集団に合わせてもらわなければ困る。
そのような集団心理もあるでしょう。
そこに
人間の、変化を嫌う心とか
波風立てたくない気持ちとかも入り混じるし、
また、実際に
1つのことを「極められる人」はカッコいいので、
そういう価値観ができてきたのかもしれません。
ですが多くの人は、
本当はそうじゃない・・・。
いろいろやりたい人のほうが
きっと多いです。
親が子に願うことも、
「1つの目標を定めて進んでくれれば」
というのが多いかと思いますが、
それはきっと
その、1つのことを極めるのが良いというのが
疑いなくインプットされているからでしょう。
よくよく考えてみれば、
興味が移り変わったり
職を転々としたとしても、
生計が立って
しあわせに暮らしてくれれば
べつにそれで十分なのでは?
うちでは私がそのようにしているので、
娘にも、
「一生の仕事が決まらなくても、
まず若いうちにしっかりガッツリ学ぶものとして
何を選ぶか?
というふうに大学を選んでみて」
と伝えました。
最初のキャリア、と考えてもいいし
1つめの武器、と考えてもいいし。
ちなみに
「大人になったら何になりたい?」
的な質問は、
長男が長年「カエル」
と答えていた時点で
聞くのをやめております(笑)
この本には、
仕事を1つずつ次々に変えていく人、
いくつもの仕事を同時に進行する人、
1つの「お金のための」仕事を確保しつつ
お金儲けにはならない仕事を楽しむ人、
など
いろいろな形の
「マルチ・ポテンシャライト」の人々が紹介されています。
あのアインシュタインが、
特許庁の職員をしながら相対性理論を考えたなんて
知りませんでした・・。
「特許庁の仕事が雇用の保証と経済的な安定をくれた上に、
特許庁の職員はのろのろ働くことで有名だったから、
1日の終わりに理論に取り組む十分な時間とエネルギーが残っていた」
なんて
サイコーじゃないですか!!(笑)
そしてその次には
「ほどよい仕事が自由をもたらす」
と書いてあります。
そんなふうに、
生き方を1つに絞らなくてはいけない、
1つの天職を見つけなければいけない、
といったプレッシャーを抱えつつ、
「そうじゃなければいいのに」
とどこかでうっすら思っていた人には、
考え方を自由にさせてくれて
これからの人生が楽しくなる、
そんな本です!☆